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胃潰瘍

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胃潰瘍とは

胃には、強い酸性の塩酸である胃酸、そしてペプシンをはじめとしたタンパク質分解酵素を豊富に含む消化液が分泌されています。こうした消化液は、飲食物を消化し、口から入ってきた細菌などの病原体を殺菌するという重要な役割を担っています。胃粘膜がこうした消化液で溶かされてしまわないのは、保護や修復のための粘液があるからです。
ただし粘液の保護・修復機能が追いつかないダメージを受けると胃粘膜が炎症を起こし、それが繰り返されると傷が消化液によって大きくえぐれて潰瘍になります。潰瘍が悪化すると出血を起こしたり、胃壁に穴が開く穿孔を起こしたりする可能性があります。大出血や穿孔を起こした場合には、緊急の処置や手術が必要になります。

原因

胃潰瘍の主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染です。次いで多いのは、痛み止めや解熱剤として使われている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)です。
ピロリ菌は除菌治療の成功によって除去できますし、それによって潰瘍の再発リスクを大幅に減少することができます。除菌治療は抗菌剤2種類と胃酸分泌抑制剤を1週間服用するだけですから、ピロリ菌感染検査で陽性であることがわかったら除菌治療をおすすめしています。
非ステロイド性抗炎症薬は、プロスタグランジンという胃粘膜保護の役割を担った物質の分泌を抑制するため、潰瘍や炎症を起こしやすい傾向があります。非ステロイド性抗炎症薬は市販薬にも含まれていますので注意が必要です。非ステロイド性抗炎症薬が原因になっている場合には薬剤の変更が最も効果的な再発予防になります。

主な症状

  • 胃痛、みぞおちの痛み、背中の痛み
  • 食欲不振、胸やけ
  • 吐血、黒いタール便
  • めまい、ふらつき、頻脈、血圧低下などの貧血症状

空腹時に胃痛があり、食後に症状が改善するというのが典型的な症状です。胸やけなど軽い症状が続くケースもあります。潰瘍の傷が深くなると出血を起こして吐血・タール便・貧血症状などを起こします。さらに粘膜の傷が深くなると胃粘膜に穴が開いてしまう穿孔を起こすことがあります。穿孔は命にかかわる状態であり、一刻も早い緊急受診が必要な状態です。

検査と治療

症状や既往症、服用している薬などについてうかがって、胃内視鏡検査で胃粘膜の状態を確認します。潰瘍からの出血がある場合には、検査中に止血処置も可能です。また、内視鏡で組織を採取して病理検査を行い、ピロリ菌感染の有無を確かめることもできますし、組織の病理検査を行うことで確定診断にもつながります。
なお、非ステロイド性抗炎症薬を使われている場合には、再発リスクを下げるため別の薬剤の処方を検討します。
実際に潰瘍がある活動期と、治癒に向かう過程期、その後の瘢痕期に分けられ、その後に治癒します。ピロリ菌感染陽性の場合も、潰瘍や炎症の状態をある程度改善させてから除菌治療を行います。
活動期には、胃への刺激をできるだけ抑えて安静を保ち、胃酸分泌抑制剤や粘液の保護・修復作用を助ける薬剤などを処方して粘膜の状態を改善させます。禁煙、禁酒など生活習慣の改善も早い回復のために重要です。出血量が多い場合や穿孔リスクがある場合には、内視鏡による止血処置や外科手術が必要になることもあります。
過程期には、傷が浅くなって周囲の腫れも引いて症状はほぼなくなりますが、治療を中断してしまうと悪化して再発しやすいためしっかり治療を続けることが重要です。
適切な治療を続けると2か月程度で潰瘍の傷が白っぽい筋として残る瘢痕期になります。生活習慣に気を付けて再発させないように注意しましょう。