港区でも5月17日から高齢者の方への接種が始まり、7月以降には基礎疾患のある方などが優先ですが、その他の区民の方への接種が始まる予定です。新型コロナワクチンに関する質問も多くなってきたので、現時点で分かっていることをお伝えします。
どんなワクチンなのか?
日本ではファイザー・ビオンテック社のワクチンであるコミナティが使用されています。このワクチンは、今までの生ワクチンや不活化ワクチンと全く違う作用で抗体を作ります。ウイルス蛋白の一部(抗原)を作る情報が入ったメッセンジャーRNAを投与することで、ヒトの体内でウイルス抗原が作られます。ウイルス抗原に対して免疫応答が起こり、抗体が作られます。
このワクチンはウイルス抗原を体内で作るので、このワクチンでコロナウイルスが発症することはありません。
また、メッセンジャーRNAは不安定な物質であり、自然に分解されて無くなります。ワクチンを超低温で振動させないように保存するのは、分解を防ぐためです。
ワクチンの有効性は?
海外の報告ですが、コミナティ2回接種後の臨床試験結果での有効性(発症予防効果)は95%と非常に高いです。また重症化予防効果も同程度あると考えられています。変異株に対する効果は不明な点も多いですが、小さな変異ではワクチンの効果はあると考えられています。ただし、一部の変異株(南アフリカ変異株など)についてはワクチンの効果が低下するとの報告があり、データの蓄積やワクチンの改良も同時進行で行われています。
一方で感染予防効果は正確に調べることが難しいこともあり、明確には証明されていませんが、最近では海外からですが感染予防効果が90%前後あるとの報告が出てきています。
ワクチンの有効性の持続期間ですが、2020年春に臨床試験が始まったワクチンであり、現時点では不明です。6か月間は有効性が維持されることが示唆されていますが、どれくらい効果が持続するのか今後の臨床研究で明らかになっていくと考えられています。
ワクチンの副反応は?
国内外ともに接種部の痛みや腫れ、倦怠感、頭痛、筋肉痛、発熱の順に副反応の報告があります。こうした症状はほとんどの場合、接種後2日以内に落ち着くことが多いですが、約2%前後の方はその期間日常活動に支障がでることもあるようです。そのため、ワクチン接種の予約の際は、翌日がお休みの日を選ぶのも良いかもしれません。また、同じ職場の人が同時期に接種すると仕事に影響が出る可能性もあるので、職場の人と相談しておきましょう。重いアレルギー反応であるアナフィラキシーショックについては、様々なデータがありますがおおむね100万回の接種につき5~10件の発症率といわれていますが、適切な処置を行えば、命に関わることはほとんどありません。アナフィラキシーショックは、多くが15分以内、遅くとも30分以内に発症するとされているため、接種後15分間は体調観察のため待機をすることになっています。
ワクチン接種の注意点は?
以下の項目に当てはまる方は、ワクチン接種を受けられなかったり注意が必要になったりします。
【接種禁忌】
- ● 体温が37.5℃以上など、明らかな発熱している方
- ● 重い急性の病気にかかっている方
- ● ワクチンに含まれるポリエチレングリコール(PEG)などの成分に対して、重度の過敏症を起こしたことがある方
(重度の過敏症とはアナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、血圧低下等のことです。)
【接種注意者】
- ● 血が止まりにくい病気の方
- ● 血をさらさらにする薬を飲んでいる方
- ● 心臓、腎臓、肝臓、血液疾患などの基礎疾患のある方
- ● 過去に免疫不全の診断を受けた方
- ● 過去にけいれんを起こしたことがある方
- ● 薬や食品や予防接種でアレルギー症状が出たことがある方
などが挙げられています。
多くの項目は、インフルエンザワクチンやその他のワクチンと変わりありませんが、いくつかの相違点もあります。
今回のワクチンは皮下注射ではなく、筋肉内注射のため、血が止まりにくい病気の方や血をさらさらにする薬を飲んでいる方は、注射部位をしっかりと圧迫することが望まれます。
またこのワクチンには有効成分を安定化させるための添加剤として、ポリエチレングリコール(以下PEG)が使用されています。国産のワクチンではインフルエンザワクチンをはじめ安定化剤としてポリソルベートが使用されていますが、ポリエチレングリコールを含有するワクチンは初めてです。PEG日用品や医薬品の多くに使用されている成分です。例えば、大腸内視鏡検査の際の腸管洗浄剤、飲み薬や目薬などの添加剤としても用いられています。また、医薬品以外にもヘアケア製品や歯磨き粉および化粧品にも使用されています。
ご心配の方は含有されている添加剤を医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページで検索することが可能です。PMDAホームページの上部に「添付文書等検索」の欄から検索できます。薬局で購入した薬(OTC)を検索したい場合には「一般用・要指導医薬品」の欄から調べることが可能です。
PEGとポリソルベートは交差反応を持つ可能性も示唆されているため、他のワクチンで重度のアレルギー反応を起こした方は、接種禁忌となります。軽度から中等度のアレルギー反応を起こした方は、接種注意者として対応します。
港区の接種スケジュールについて
もうお手元に接種券が届いている方もいると思いますが、5月6日頃をめどに接種券が発送されるので届いていない方はもう少々お待ちください。一般の方への接種は7月以降に開始予定ですが、ワクチン供給状況によりまだ流動的かと思います。自治体ごとに接種方法を選択しており、港区では区の方針により、個別接種(各々のクリニックで接種を行う)方式ではなく、集団接種(大きな会場で接種をする)方式となっております。
予約方法や接種会場などの詳細は、広報みなと新型コロナウイルスワクチン接種特集号(第1号)に記載されていますのでご参照ください。
予定や接種方法なども今後変更がある可能性もあるため、こまめに港区のホームページで確認をするようにしましょう。